ドミニコについて
   9つの祈り方


1.謙遜に祈る

 ドミニコは教会で祈る時、まず祭壇の前でうやうやしく身をかがめ、祭壇の上にキリストが現存しているように敬意を払って挨拶をします。

 「主よ、私の心を深くへりくだらせてください。なぜなら私はあなたの前に完全にへりくだっておりますから」と唱え、ドミニコは立ってキリストの前で謙虚に頭を下げ、心でキリストの偉大さと僕にすぎない自分の状態を考え、崇拝を示しながら全てをささげます。

2.罪人としての祈り

  ドミニコは祈る時、体をもって祈ることを重視しました。
罪人として祈るときは地面にひれ伏して顔をつけ、痛悔の心をおこしながら、わが身をとがめて祈ります。

 ダビデの言葉 「私は罪を犯し、悪を行ないました」
 詩篇       「私の魂は塵にまみれています。あなたの言葉に従って生きさせてください。」
という言葉を唱えながら、自分が罪人であることを深く自覚したのです。

3.償いの祈り

  
罪人として地面にひれ伏した状態から少し起き上がり、
詩篇の言葉「あなたの右腕は私を支え、あなたのご加護が私を高めた」と唱えながら、鉄の鎖で鞭打ちをします。

  ドミニコ会ではこの祈りに倣って、寝る前の祈りの後、柳の枝で裸になった肩を打ちながら心をこめて詩篇の51のミゼレレか130のデ・プロフンディスを唱えるという伝統を大切にしていました。




4.清めの祈り

  
次はさらに立ち上がり、祭壇の前で十字架にまなざしを向け、二度、三度、さらに百回もひざまづいて祈ります。
ドミニコは「主よ、お望みならば、私を清くすることができます」と唱えながら深い観想にひたりました。

 旅の道中や宿屋でも、ほかの兄弟たちが寝た後に一人ひざまづいて祈り続けるほど欠かせない習慣となっていました。神の御憐れみに対する信頼と希望の中に、時として脱魂状態になることや、不意に喜びに満たされて涙が頬を伝わることもありました。

5.神に(ひら)かれる祈り

 
祭壇の前で直立不動の姿勢で立ち、両手を胸の前で本を開くように広げます。祈っている間、神の前で本を読むように、深い尊敬と信心をこめて、神の御言葉を黙想します。

 ある時は肩の高さまで両手を挙げて、あたかも祭壇から来る御言葉をよく聞き分けるかのように耳を澄まして祈りました。まるで神か天使と対話するような姿に見えました。

6.特別なカリスマを願う祈り

 
立ってできる限り両手両腕を伸ばし、十字の形になって祈ります。
病人を治したりするために、特別な癒しの賜物を願う祈りをしましたが、ドミニコがこの方法で祈ることはめったになく、ある重大な不思議なことが実現できると分かった時だけに限っていました。

 キリストは罪の赦しのしるしとして病を癒しましたが、ドミニコもここで癒しが必要というときに、そのような特別な賜物を求める祈りを大切にしました。




7.聖霊の賜物を受けとる祈り

 
創立されたばかりの説教者兄弟会のために聖霊の賜物を願い、両手は頭上に上げられ、かつ伸ばされて、天から何かを受け取るかのように合わされるか、少し開かれるようにして祈ります。

 「主よ、あなたに向かって叫ぶとき、あなたの聖なる住まいに私の手を差し伸べるとき、私の願いの声に耳を傾けてください」と唱えながら祈り続ける様子は、神の恩寵に満たされ第三天に引き上げられたかのようであり、脱魂状態から我に返ったドミニコの姿や表情は一人の巡礼者が遠くからやって来るかのようであったと伝えられています。

8.潜心する祈り

 
ドミニコは聖務日課の祈りの後、孤独な場所に引きこもり神の御前に沈潜して聖書を紐解いていました。まなざしを上げては下ろし、低い声で話したり、胸を叩いたりします。このように、聖書を読む時もただじっと読むだけでなく、ある聖書の御言葉を読むとしばらく目を閉じてそれを味わい、そして十字架の方に目を向けて神と対話したりします。

  ドミニコは、昼間は神について人々に語り、夜は人々について神に語ったといわれます。「主よ、この人々の魂はどうなるのでしょうか。この人々の魂の救いのために私が何をしたらよいのか教えて下さい」と心の底から唱える声は叫びとなって表れます。

9.旅路における祈り

 
ドミニコは旅する時、兄弟たちに「私はあなたを荒地に連れて行こう。そしてあなたの心に語りかけよう」という聖書の言葉をしばしば話しました。彼にとっては旅路における真の休息は黙想や祈り、特に観想でした。

 彼は旅の途上で、ある時は仲間から離れて先を歩き、あるいは遅れて歩きながら、一人で祈っていました。この祈りの中から、福音を宣べ伝える勇気と力を汲み取り、また御言葉に関する深い洞察を身につけることができたのです。





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